父の「ネズミ疑惑」から始まった、ある命の話!

今だから言えること

今だからこそ、少し笑って話せる出来事がある。
父の話をする前に、どうしても外せない思い出だ。


私はワンちゃんを二匹飼っています。
そのうちの一匹が出産することになった。

ただ、お腹の中には赤ちゃんが一匹だけ。
獣医さんから「一匹だけだと大きくなりすぎるリスクがあります」と説明を受け、帝王切開での出産を選ぶことになった。

手術は無事に終わり、赤ちゃんも元気。
ここまでは本当にホッとした。


母犬は“産んだ自覚”がなかった

問題はその後だった。
母犬は寝ている間に出産が終わってしまったため、
どうやら自分が出産したという実感がなかったようだった。

自分から進んで母乳をあげることはなかった。
ただ、誤解してほしくないのは、
まったくあげなかったわけではないということ。

私が赤ちゃんをおっぱいの近くに連れて行くと、
ちゃんと母乳をあげてくれた。

それでも最初の頃は、
自分から世話をする様子はほとんどなく、
私はしばらくの間、チューブを使って口からミルクを飲ませる生活を送ることになった。


一週間ほどで変わり始めた母犬

昼も夜も関係ない。
数時間おきに起きてはミルク。
正直、体はかなりきつかった。

でも、そんな日々が一週間ほど過ぎた頃、
少しずつ母犬の様子が変わってきた。

赤ちゃんの鳴き声に反応するようになり、
気がつくと自分からそばに寄っていく。

あれほどピンと来ていなかった母犬に、
少しずつ母性本能が目覚めてきているのが分かった。

「あ、この子、ちゃんとお母さんになってきてる」そう感じた瞬間だった。


ネズミを育てていると言われた日

そんな頃、母犬と生まれたばかりの赤ちゃんを連れて実家へ行った。
私は特に父からは何も言われなかった。

ところが後日、姉からふと、こんな話を聞いた。
父が姉に、こんなふうに話していたらいい。

「まみがな、ネズミを大事に一生懸命育てていて大変になってる」

ネズミ……。

確かに小さい。
毛も少ない。
ピーピー鳴く。

でも、犬。

姉からその話を聞いた瞬間、
心の中で全力ツッコミを入れた。


必死だったから、笑えなかった

当時の私は必死だった。
笑う余裕なんて、まったくなかった。

ただただ
「この子だけは生かしたい」
それだけで動いていた。

今思えば、父なりに私の様子を心配して、
父なりの言葉で伝えた結果が、
なぜか「ネズミ」になってしまったのだと思う。


不器用でも、ちゃんと命は育った

母犬は、時間をかけてちゃんと母親になった。
私は、誰にどう思われてもミルクをあげ続けた。
父は父なりに、離れたところから気にかけてくれていた。

やり方はみんな少しずつ不器用だったけれど、
あの小さな命は、たくさんの手と気持ちに守られて育った。


今だから言える事

あれはネズミなんかじゃなく、
必死に守られていた、確かな「命」なんです。

そしてこの経験は、
のちに父を支える私の原点になっていったのかもしれません。

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